「カンガ」と呼ばれる一枚布。
ケニアやタンザニアを中心に使われている布ですが、実は、ケニア・タンザニア以外の国でも使われています。
たとえば、タンザニアの隣国モザンビークではタンザニアから輸入されたカンガが利用されていたり、スワヒリ社会と歴史的に深い関わりを持つオマーンでも一部の人々の間でカンガが着用されています。
そして、マダガスカル島でも。
マダガスカルでは、カンガと言う名前ではなく「ランバ・ワ―二」と呼ばれ、マダガスカル語で文言がプリントされています。
当方のホームページの『コレクション』にも紹介していますが、ここではまたちょっと違う風情のものを御紹介しましょう。
これはバオバブの木が描かれた一枚。
こちらは総天然色。高いタワ―はどこなのでしょうか。
マダガスカルのランバワーニは、人々の生活風景を1色で描いたものや、ユーモラスな絵柄、ケニアのカンガよりももっと色鮮やかなものなどいろいろなタイプがあり、興味深いです。
そして、さらに興味深いのがマダガスカルのすぐ近くに位置するコモロ諸島。
コモロ諸島なんてきくと、どこ、その島?という人も多いことでしょう。
シーラカンスがよく捕獲されるということで知ってる方もいるかもしれませんね。
コモロ諸島で利用されているカンガがこちらです。
これらはカンガの基本的なデザイン構図であるボーダー部分がなく、下部にコモロの言葉で文言が書かれています。
また、カンガらしい構図もものもあります。
これらの布は腰や胸に巻いたり、ショールのようにして着用しています。
コモロでは、カンガではなく、「レソ」と呼ばれています。
「レソ」は、ケニアの海岸部におけるカンガの呼び方で、カンガという名称より一般的です。
「レソ」は19世紀後半から着用された布で、カンガの原型の一つではないかと考えられています。
コモロ諸島では、19世紀に流通していた布の名称が現在でも使われており、東アフリカの布の歴史を考える上で大変興味深いと思います。
そして、さらにもう一つ、興味深いのがブラジルのカンガ。
こちらは「canga」というスペルでビ―チで水着の上にはおる布として使われているようです。
こちらはカポエイラ柄。ユニークです。
素材はビスコ―スで、てろんとしています。
さて。
ではなぜブラジルにも「カンガ」と呼ばれる布があるのでしょう。
マダガスカルやコモロ諸島の場合、19世紀にヨーロッパから輸入されていたことは記録にもありますが、ブラジルには果たしてどんな経緯でもたらされ、今、パレオとなったのでしょう。
この件については今後調査研究していきたいと思いますが、ヨーロッパから最初にもたらされたのではないかと私は考えています。