カンガの中で普通のカンガと異なるデザイン構成されているのが「キストゥ」と呼ばれているもの。

これは四方ボーダーがなく、文言も記されていません。

19世紀からスワヒリ社会で着用されている布で、通常のカンガとしての着用以外に、特別なシーンで着用されてきました。

 

その一つが、スピリチュアルなシーン。

ケニアのモンバサの後背地に暮らすギリヤマの人々の間では、呪術師の衣装として知られています。

呪術師とは、村の人々の悩みを独特な手法で解決する、今でいう、スピリチュアルカウンセラーのような存在。

私は、以前マリンデイの奥深い村で呪術師に取材したことがありますが、その時は村の女性が病気について相談してして、その時の呪術師もキストゥを着用していました。

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ギリヤマの人々の間では、このキストゥは、悪い呪術から身を守るとも伝えられています。

 

また、伝統的なダンスの時にも着用されます。

写真はモンバサから南に下ったムサンブエーニという村でのお祭りです。

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キストゥは、本来はこれらの写真のように赤・黒・白の3色で構成されるのが基本です。

 

ザンジバルでは、女性の結婚の際にも重要な意味が込められています。

女性が結婚する際、前日に沐浴して体を清めますが、それが終わるとキストゥをはおって身を清めます。

さらに結婚式の時の衣装としても着用されてきました。

この色にも意味が込められており、女性の純真さや男性を初めて迎え入れる意味合いも包含しています。

最近ではカラフルなものがたくさん出てきており、このような精神的な意味での着用だけでなく、ファッションアイテムとしてカラフルなキストゥを使って洋服に仕立てるなど、その使い方も時代とともに変化してきています。

 

キストゥのデザインには、インドのテキスティルの影響もかいまみられ、東アフリカとインドとの長きにわたる綿織物の交易の歴史を伝えます。

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最近は、こんなにカラフルになりました。
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